岡本佳比古准教授が日本物理学会 第24回(2019年)論文賞を受賞

論文題目:Line-Node Dirac Semimetal and Topological Insulating Phase in Noncentrosymmetric Pnictides CaAgX (X = P, As)


掲載誌:>J. Phys. Soc. Jpn. 85, 013708 (2016)


著者氏名:Ai Yamakage, Youichi Yamakawa, Yukio Tanaka, and Yoshihiko Okamoto


授賞理由:本論文は、反転対称性があらわに破れているが鏡映対称性を持つ物質 CaAgX (X = P, As) のバンド構造に、スピン軌道相互作用が無視できる場合にトポロジカルなラインノードが出現することを理論的に予測した論文である。トポロジーに基づいた解析的な理論と、第一原理電子状態計算を組み合わせて、定性的に明快、かつ定量的に信頼性の高い予言を行っている。鏡映対称性により守られたトポロジカルなラインノードの理論的予言はこの論文が初めてではない。しかし、具体的な物質群であるCaAgXについての予言は、新しいトポロジカル物質群の発見という点で、さらにはラインノードの物理的効果の実験的検証への道を拓いた点で高く評価できる。実際、2018年にはCaAgAs単結晶においてラインノードが角度分解光電子分光によって実験的に確認された。このように、新たなトポロジカル物質群を同定し、実験的検証にも導いた点で、本論文の意義は大きく、日本物理学会論文賞に値する元考える。




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